愛媛大学教育学部数学教室学生の活動
愛媛大学教育学部数学教室の学生の和算への取り組みは2006(平成18)年に始まります。時期ごとに分けて学生の活動を振り返ります。
(1)2006(平成18)年~2011(平成23)年
卒業研究で平田ゼミの学生が取り組むテーマは、幾何学・和算・数学パズルなど年によって様々でした。和算をテーマにした最初の取り組みは、長崎和算研究会米光丁先生の「練習問題集100題」を解くことから始まりました。
その後、深川英俊編『算額の研究(続)』に載っている楕円問題研究、伊佐爾波神社の「山崎富太郎の算額」の菱形図形を折り紙作図の視点からの研究などがあります。
この時期は5名の学生が和算をテーマに卒業研究に取り組みました。
(2)2012(平成24)年~2013(平成25)年
定例会で『改正諸術詳解』を毎回一巻ずつ読み進めることになり、その現代解を学生が担当しました。このとき以来、平田ゼミの卒業研究では毎年和算を取り上げることになりました。
定例会では毎回5~7問の現代解を紙面発表し、その中から数問を選び口頭発表しました。『改正諸術詳解』は3名が取り組みました。
2012(平成24)年の愛媛大学ミュージアムでの算額展の準備にもこの3名の学生が加わっています。それ以外に、会場で和算教材の解説を担当した学生が1名、会場で常時上映していたビデオのナレーションを担当した学生が1名、協力してくれました。
(3)2014(平成26)年~2019(令和元)年
『精要算法』の現代解作りは5年間続きました。この取り組みは、平田ゼミから12名、原本ゼミから3名の学生が担ってくれました。
2016(平成28)年の第12回全国和算研究大会(愛媛大会)では、学生4名が「精要算法より2題の現代解」を発表しました。研究の中心となって準備をした4回生2名は教員採用試験の都合で参加できず、代わりに3回生2名が空間図形問題の現代解を立体模型を示しながら口頭発表しました。
(4)2020(令和2)年~
大西佐兵衛の『雑題』への取り組みは今年から始まりました。安部ゼミ・原本ゼミの学生による『算法点竄指南録』の研究も始まったばかりです。平田ゼミ4名・安部ゼミ3名・原本ゼミ1名が2月定例会に参加し口頭発表しました。
(5)その他
情報教育コースの学生たちも和算をテーマにした卒業研究を行っています。2008(平成20)年度の学生2名は、「セカンドライフ」というインターネット上の3D仮想空間に算額展示するという試みを行いました。
産官学連携の研究会「e-まつやま最先端情報技術研究会」が3D仮想空間上に道後温泉本館・松山城・大街道といった街並みを再現していたエリアの一角を借りて、「算額の館」という展示会場を作り、そこに大西佐兵衛・佐野長次郎・簡野主計・高阪金次郎・桐野富五郎の算額とその立体模型などを展示しました。
このように教育学部学生はさまざまなテーマで和算を取り上げてきました。
係わった学生は通算で43名となります。
定年退職により平田ゼミは2020(令和2)年3月で閉じましたが、安部ゼミ・河村ゼミ・原本ゼミの学生が引き続き定例会に参加して研究会を盛り上げています。